田んぼを掘る。自然コミュニティの醍醐味

田んぼを掘る

『1からカレーライスづくり』をしてみよう!という話になったとき、正直なところ、米は農家さんから買わせてもらうことになるだろうと思っていました。

でもこの通り……


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プロジェクトの話をお百姓さんに話してみたら、「じゃぁ、田んぼ作ろうよ」と一言。

それからあっという間にユンボで穴が掘られ、原っぱに田んぼが出現してしまったのです!



こどもたち、最初は汚れることを躊躇したりもしたけれど、一度どろの中に入ってしまえば急に心が楽になる。スコップ握りしめれば使命感が湧いてくる!


「田んぼを作るんだ!」


娘、無我夢中で、ユンボで平らにしきれなかった土を掘って外に出していました。


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しろかき


あぜを作って、

『代掻き(しろかき)』といって、田んぼの底の土を平らにならす作業をします。


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村びとの中でも、経験者半分、未経験者半分の『しろかき』。


みんな横に並んで、会話も弾む!

大変な作業が、それだけで『楽しい作業』に。

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自然の中のコミュニティの醍醐味


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その間私は3歳息子のぐずぐずに付き合ったり、こどもたちと川探検へ。



「代掻きやってみたかったなぁ」(笑)とか、

「作業をみんなにおまかせで、ちょっと申し訳ないなぁ」と思ったりもしたけれど、

作業に飽きたこどもたちの好奇心に付き合って、ひんやりした川を長靴で登っていくことに。



初夏の森。

青々した若い葉っぱが、小川に涼しい影を作って、耳には心地よい水のせせらぎの音。

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なんて気持ちいいんだぁぁ


目の前に飛び出した木の枝や不安定な足元が怖いし、背丈を超える草がチクチク不快で、一緒に行った村の男の子が、弱音を吐く。

「ぼくもう無理…もういやだよ、帰ろうよ」

でも娘はどんどん進んでいくし、男の子もその先の景色が気になって…いやいやながらも引き返さない足。(^^♪

自然が子どもたちを呼んでるんだろうな。

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一歩一歩、勇気を出して進んでみたら、毎度楽しい発見や感動が待ってるから「一歩進んでみてよかった」と思える。

森の探検ってその連続なんだ。


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毎週こうしてみんなで集まっていると、わが子も、ほかの家庭のこどもも、一緒に育っていく様子が見える。


自分の家族だけだと息詰まってしまうことも、村びとの家庭の様子を見てスッと気が楽になったり、わが子を客観視する余裕が持てたりもする。


こどものぐずぐずが収まらなくて、みんなに作業をおまかせするのが申し訳ないって焦りがちだったけど、こどもの気持ちやペースにとことんつき合わせてもらうことに後ろめたさを持つ必要もないんだって、この時思うことができた。


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こうして自然の中で子育てさせてもらうことに、とっても意義があるんだって、母親であることにも誇りを持てた気がしたから。



かといって、母親ばかりが子育てを背負わなくてもいいんだって思わせてもらうこともたくさん。

こどもたちはたくさんの人に育てられていくんだ、って目の前で見て感じてくることができた。

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広い原っぱでプチ迷子になっていたところ、村の料理長兼演出家のお兄ちゃんにおんぶして連れてきてもらった息子。ほっぺたに涙の痕。しっかりしがみついてる。(笑)

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植物の不思議、世界の不思議、こどもに魅力的に語ってくれる面白いお姉さん。娘はお姉さんのことが大好き。



田んぼに水が来た!知恵と技術に感動

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田んぼにはる水は、近くの森の中を流れる小川の水。

ホースの先を川の上流のほうに設置し、高低差を利用して田んぼに引き込みます。

川を流れてくる葉っぱや小石で詰まらないように、ホースの先にはフィルターをかけ、でこぼこ解消のためにホースの下に石や木を置いて弊害をひとつひとつ取り除きながら、水を低い場所にある田んぼへ導きます。

とてもシンプルな作業。でも、私は川の水を田んぼに入れるやり方なんて思いつきもしなかった。だから最初から「田んぼなんてできるの!?」と、自分を諦めていました。

難なくやってのけるお百姓さんの姿が、かっこいい!



生きる知恵は、自信につながり、希望につながる。

水がどぶどぶと注がれ始めた瞬間は、なんともいえない嬉しさと安堵感が沸き起こってきます。


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私はいま、大先輩から生きる力をいただいてます。



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すぐに集まってきたイキモノたち


そして水が入るとすぐに、どこからかカエルが集まってきて、田んぼができたその日の夕方からさっそく『カエルの大合唱』が始まりました。



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↑ 二ホンアマガエル


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↑エゾアカガエル?という説もあったけど、二ホンアマガエルが変色したものかも



数日後の田植えのあとは、気が付けばトンボ、アメンボやミズスマシ、人間は忌み嫌うけれど蚊の赤ちゃん(ボウフラ)などなど、あっという間に田んぼの中はいろんな生き物で溢れていました。


見れば、子どもも大人も「この虫は何を食べるんだろう」とか「この虫が嫌いだけどいなくなったらどうなるんだろう」なんて素朴な疑問がわいてきて、その都度詳しいひとに聞いたり、調べてみたりして、日常ではなかなか興味すら持つことのないことを知るようになります。


ボウフラは水を浄化するともいわれているし、カエルやトンボは害虫を食べてくれるそうで、生き物それぞれに役割があって、どれも欠けてはいけない存在なのだということを知ります。


必然的に世界のすべてに、命に、感謝したくなります。